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  2. ヤミ金融の手口と仕組み

ファクタリング

ファクタリングを偽装するヤミ金融にご注意下さい

近年、貸金業者の減少に伴いヤミ金融業者が勢力を伸ばし、その数を増しております。ヤミ金融は警察の摘発を逃れる為、巧みにその姿を変え一見ではヤミ金融とは思えないほどに変貌している場合があります。特に、貸金業法の規制が及ばない「ファクタリング」を偽装したヤミ金融が多数営業しております。

本稿ではファクタリングを模倣したヤミ金融の高金利被害に会わないようにその手口や仕組みについて解説いたします。

 

1.(ヤミ金融増加の背景)

貸金業者の登録制が発足して2年が経過した1986年当時、貸金業者の登録件数は最多の4万7504件を記録しました。しかし、その後減少の一途を辿り、2016年7月の登録件数は最盛期の4%にまで減少し、1910件となりました。


金融庁貸金業関係資料「貸金業者数の推移等」より


その原因は、貸金業者の三重苦とも呼ばれた次の要因です。

)…蠅両絽其睛が段階的に引き下げられ採算の維持が厳しくなった。

過払金返還による多額の損失。

リーマンショックを起因とする信用収縮による資金調達難。

これらの要因により大きく減少した貸金業者の融資を、肩代わりするかのごとく増大したのがヤミ金融による融資です。

とりわけ事業者向け金融の分野においては、正規ファクタリング業者のごとく偽装したヤミ金融(以下単に「似非ファクタリング業者」という)が、大きく増加しました。

 

2.(ヤミ金融による高金利被害は減ったのか)

警視庁が公表する無登録高金利事犯(ヤミ金融)の検挙状況の推移では、平成22年の検挙事件数307件に対し平成27年には140件と半減しています。しかし、本当にヤミ金融による高金利被害は減っているのでしょうか。

筆者が考えるにこれは、資金需要者ないし警察が似非ファクタリング業者の実態がヤミ金融である事を知らなかった、もしくは資金需要者がヤミ金融である事を知ったとしても他の資金調達方法が無いなどの理由で被害を訴えにくい環境に変化したからに他なりません。

つまり、似非ファクタリングを偽装するヤミ金融による被害は水面下で拡大していると考えるのが自然なのです。

警視庁「無登録高金利事犯の検挙状況の推移」より

 

平成22年

平成23年

平成24年

平成25年

平成26年

平成27年

検挙事件数

307

254

190

168

151

140

検挙人員

646

539

315

337

258

267

検挙法人数

9

10

2

7

5

0

被害人員

76,041

50,268

31,398

30,936

16,654

20,588

被害額

114億円

117億円

110億円

150億円

98億円

161億円

 

正規ファクタリング業者の取引は、債権を売買する取引であり金銭消費貸借取引ではありません。このため、貸金業者として登録の必要がなく、貸金業法ないし利息制限法など、貸金業者を規制する法律は適用されません。

そのためヤミ金融は、自身が行う貸付を、まさにファクタリングであるかのごとく偽装し警察の摘発を逃れ、その数を急速に増やしました。

そんな矢先の2017年1月25日、大阪府警は「東洋商事」及び「MINORI」という似非ファクタリング業者の実質的経営者である容疑者Mと社員ら8人を貸金業法違反の容疑で逮捕しました。

似非ファクタリング業者の逮捕は国内初の快挙ですが、容疑者Mは、平成15年にも出資法違反(高金利違反)で逮捕された犯歴がありました。このため警察は、容疑者Mらの行為がファクタリングを偽装した金銭消費貸借取引であると、確信をもって逮捕にこぎつけられたのではと思慮します。

この逮捕は、同様の悪事を働く似非ファクタリング業者に大きな衝撃を与えました。なんと、逮捕が報道された直後から金利の上限をそれまでの三分の一である年率100%以下にまで引き下げた似非ファクタリング業者が現れた程です。

 

3.(ヤミ金融の趨勢)

ヤミ金融の数や融資残高などその実態把握は困難ですが、預金取扱金融機関の取引対象とならないハイリスクのファクタリングないし無担保融資の分野においては、正規貸金業者やファクタリング業者と同等、若しくはそれを上回る数のヤミ金融が跋扈していると筆者は考えます。

なぜなら、正規ファクタリング及び事業者向け金融を生業とする弊社では、融資やファクタリングの審査を行う際、申込人の既往の借入金残高を申告していただくと共に、債権譲渡登記の有無を閲覧します。

すると、申込人の25%で債権譲渡登記が発見され、それを基に資金需要者に対するヒアリングを行うと、貸金業者及びヤミ金融からの借入状況が明らかになります。結果として、債権譲渡を登記されていた申込人の80%(申込人全体の2割)が似非ファクタリング等のヤミ金融を利用しており、貸金業者ないし正規ファクタリング業者利用者数を上回る結果となっていたからです。

国内の法定の上限金利が29.2%、若しくはそれ以上であった当時、多くの貸金業者がハイリスクの無担保融資を手掛けておりました。しかし、100万円以上を融資する場合、法定の上限金利は年率15%に引き下げられ、ハイリスクの無担保融資を実施する貸金業者は僅かとなり、手数料が規制されていないファクタリングがハイリスク無担保融資の主たるファイナンサーに登場しました。しかし、その大部分の業者が似非ファクタリングであったという皮肉な現実です。

 

4.(二者間ファクタリングとは)

正規ファクタリング業者による債権の売買は、債権の売主と買主であるファクタリング業者及び売買の対象となる売掛債権の債務者(以下単に「第三債務者」という)の三者間の合意で成立します。このため「三者間ファクタリング」とも呼ばれています。この場合、売買の対象となった第三債務者に対する売掛金は、買主であるファクタリング業者が回収し、かつ、その債権が回収不能となった場合の貸倒れリスクを負担します。

 

【正規ファクタリング(三者間ファクタリング)取引の構成】

 

つまり、第三債務者が支払不能に陥っても、債権の売主に対する償還請求権を行使しない「ノンリコース」の売買契約です。この為、正規のファクタリング業者の手数料は、第三債務者の支払い能力によって変動します。

 

一方、似非ファクタリング業者の債権の売買は、債務者(名目の売主)と似非ファクタリング業者(名目の買主)の二者間の合意で成立します。このため「二者間ファクタリング」と呼ばれています。

一般に、債権を売買したのであれば買主が第三債務者より債権を回収するのが当然ですが、それを偽装しているだけの似非ファクタリング業者は、自ら債権の回収を行ないません。そのままですと債権回収がままならないため、似非ファクタリング業者と債務者間で債権回収業務委託契約なるものを締結しています。

債権回収業務委託契約とは、債権の買主が売主に対して売買対象債権に関する請求、回収、買主(似非ファクタリング業者)に対する支払業務を委託するという契約であり、その「買主に対する支払業務」が似非ファクタリング業者に対する実質的な返済にあたります。

また、二者間ファクタリングでは売買対象債権の第三債務者が支払いを履行できなくとも、似非ファクタリング業者が償還請求権を行使し債務者に弁済を要求する「リコース」が一般的です。このため、手数料名目の実質的利息の多寡は、債務者(名目の売主)の弁済能力によって決定されます。その結果、実質年率200%〜360%のという超高金利も珍しくありません。

 

【似非ファクタリング業者による二者間ファクタリング取引の構成】

      


二者間ファクタリングと呼ばれる取引が高金利であるにもかかわらず、多数の事業主が利用する理由は以下のとおりです。

1.貸金業者が廃業し、その相手方となる資金需要者層に資金を供給するファイナンサーがいない。

2.正規ファクタリングと異なり第三債務者(売掛先)の同意が不要なため、取引が容易。また、ファクタリング業者との取引が第三債務者(売掛先)に知られる事が無いため、信用不安等を理由として今後の取引を中止される恐れがない。

3.実質的な金利が高い反面、審査基準が低く信用力に劣る企業でも融資を受け易い。

以上の理由から、二者間ファクタリングは広く普及しましたが、大手金融機関が取り扱うファクタリング以外の三者間ファクタリングは第三債務者の同意が得られない等の理由であまり普及していません。

 

5.(貸金業の定義)

貸金業法第二条では貸金業法の対象となる「貸金業」を次のように定義しています。

「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。

ここで注目すべきは、債権の売買に属する「手形割引」が貸金業に含まれている事及び「その他これらに類する方法によってする金銭の交付」という記述です。

似非ファクタリング業者には無登録で手形割引を行う業者が存在するばかりではなく、ファクタリングを偽装した融資が貸金業法二条で定める「これらに類する方法」であるとの解釈が司法に広まりつつあります。

 

6.(ファクタリング業者の敗訴)

2017年3月3日大阪地裁は、運送業を目的とする原告E社とファクタリング業を目的とする被告J社との争いで、債権の売買代金としてJ社がE社に交付した金銭が実質的な貸付金であると判断し、E社がJ社に支払ったファクタリングの手数料を利息制限法の上限金利(15%)で引き直し計算した金額との差額として、「被告J社は原告E社に対し467万円余りの金員(過払金)を支払え」と命じました。

 

上記判決は、似非ファクタリング業者に対する過払金返還請求、並びに貸金業法違反による逮捕の根拠となり、今後、似非ファクタリング業者による高金利被害の減少に大きく貢献するものと期待されます。

 

7.(二者間ファクタリングの債権保全方法)

二者間ファクタリングと呼ばれる実質的金銭消費貸借取引では、担保とする売掛債権は、債務者に支払われるため、似非ファクタリング業者へ弁済する以前に債務者が消費してしまう、また、第三者から差し押さえられる等により似非ファクタリング業者が回収できなくなる事案が発生します。

このため似非ファクタリング業者は、譲渡人の契約不履行を抑止し、債権回収を確実にする為、次のような債権保全策を実施する場合があります。

1. 似非ファクタリング業者と債務者において債権譲渡契約を締結し、それに基づく債権譲渡登記を申請し、第三者に対する対抗要件を具備する。

2.第三債務者より売掛金が振り込まれる債務者名義の金融機関の通帳・銀行印・キャッシュカード等を預かり、弁済の原資に充てる。

3.融資と同時に債務者法人の発行済み株式の過半数を譲渡担保とし、似非ファクタリング業者が債務者法人の筆頭株主となる。

4.役員変更登記に関する委任状など登記申請に必要な書類を予め徴求し、いつでも役員変更登記が申請できる状態にしておく。

筆者が知りえた情報は以上ですが、万一、債務者が弁済を不履行した場合には、筆頭株主であることを利用し、それまでの代表者を解任し、似非ファクタリング業者にとって都合の良い人物を代表権のある取締役に登記します。

すると、新たな代表者が債務者法人の資産(預金、売掛金、動産及び不動産など)を換金し、似非ファクタリング業者に対する債務を弁済するという公序良俗に反するとも思える手荒な債権回収を行なわれる場合があります。

 

8.(二者間ファクタリングの事例)

資金需要者に対する弊社のヒアリング調査の結果判明した、似非ファクタリング業者との取引の実例を記載します。

事例1. 東京都を拠点とする似非ファクタリング業者と二者間ファクタリング契約を締結した茨城の土木業A社は、80万円の売掛債権を売買したという名目で手数料20万円(年400%程度の利息に相当)が天引きされ60万円を現金で受け取りました。

その後、A社の口座へ債権の売買の対象である債権80万円が振り込まれたものの、振り込まれた金融機関の弁済金として引き落とされてしてしまい。似非ファクタリング業者に支払いができなくなりました。それを似非ファクタリングの担当者に伝えところ、違約金(利息)として20万円を支払えば弁済期限を一月間猶予すると言われ、毎月20万円を現金で支払い、数か月間弁済が猶予されたといいます。

事例2. 東京の似非ファクタリング業者と二者間ファクタリング契約を締結しようとした群馬の建設業B社は、車の中で契約内容を説明され、手数料があまりにも高いので、その契約を断ったところ、東京から群馬への出張料として15万を請求された。B社はやむなく契約を締結したが、契約書面の写しや領収書は一切交付されず、200万円の売掛金を売却したという名目で、140万円を受け取った。その後、B社の社長は自社の商業登記に似非ファクタリング業者を譲り受け人とする債権譲渡が登記されている事を取引先から知らされました。

B社の社長は、予め債権譲渡が登記されることを聞いていなかったため、その抹消を似非ファクタリング業者に要求したところ、債務を完済しなければ抹消できないと言われ、知人より200万円を借入し、その債務を完済し登記を抹消したといいます。

 

9.(総括)

似非ファクタリング業者の全ての取引が違法なのではありません。時としては、売買対象債権の第三債務者が支払不能となった場合に償還請求権を放棄する(ノンリコース)三者間の正規ファクタリングを行う場合もあります。

しかし、似非ファクタリング業者の殆どの取引は、償還請求権を行使する(リコース)二者間ファクタリングです。この取引が貸金業法に違反しているのは紛れもない事実です。

また、一部の似非ファクタリング業者の利益は、反社会的組織の資金源になっているとも噂されています。さらに似非ファクタリングによる高金利被害は、今もなお続いております。

このため、裁判にて似非ファクタリング業者の実態が解明され、警察によるヤミ金融の摘発が進展する事を期待すると共に、我々貸金業者が一人でも多くの資金需要者の期待に応える事がヤミ金融による高金利被害を減少させることにつながると考えます。

 

貸金業登録番号 埼玉県知事(6)第03497号

株式会社クレイリッシュ

代表取締役睫攴男

 

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